2014年7月19日土曜日

COBUILD、そしてコンピュータ将棋

(註:本文書はコンピュータ将棋開発者である私の個人的な表出であり、
 コンピュータ将棋開発者の総意を表出するものではありません)

 私はコンピュータ将棋を嗜む「へっぽこ」プログラマではありますが、
今日の将棋の棋士先生方とコンピュータ将棋の関係について、思うとこ
ろあり一筆執る次第です。

 ここで話は飛んで時は遡ること30数年前、英国バーミンガム大学にお
ける、英英辞典編纂について見てみましょう。シンクレア教授と英コリ
ンズ社は共同で新しいタイプの学習英英辞典を開発していました。英英
辞典というのは、英国のlexicographer(辞典編纂者)が著した英語に
よるいわば英語の国語辞典のようなものですが、シンクレア教授とその
グループは電子化されたコーパス(言語資料)を活用した辞典を編纂し
ておりました。
 グループはコーパスから語義の統計的な頻度と、語義に対応するコー
パスの使用例を自由に取り出せるシステムを開発しました。そして辞典
編纂者はそのシステムを使って「生きた」例文を辞典に掲載することに
成功したのです。この辞典の特徴である「フルセンテンスの語義」と相
まって、この辞典は1980年代、非常に成功しました。英英辞典COBUILD
の誕生です。コンピュータガイ(コンピュータを使う技術者)と辞典編
纂者(言語学研究者など)の共同の作業が、世に新しいタイプの辞典を
送り出したのです。

 なぜ30年前の辞典の話をしたかと申しますと、今日のコンピュータ将棋
を取り巻く状況は極めてこの時の状況に酷似していると私は感じている
からです。辞典編纂者=将棋の棋士の皆様、コンピュータガイ=コンピュータ
将棋開発者と考えると、ああ成る程と、思う方もいらっしゃるかもしれま
せん。

 私は、コンピュータ将棋と棋士先生の皆様との最終決戦が行われること
について、それは事の成り行きであると思いますし、いま非常にデリケート
な時期に来ていることを否定する訳でもありません。
 ただ、私はいつの日か、棋士先生の皆様とコンピュータ将棋が華麗に
コラボレートして、今まで無かった将棋を創り上げる、そんな夢想をせず
に居られないのです。そう、30数年前のCOBUILD誕生の時のように。

 これは夢物語なのかもしれません、実際には厳しい戦いが待っているの
でしょう。でも、私はこんな未来が来ることを願って止まないのです。
現に将棋を指す方がコンピュータ将棋に詳しい人を欲するように、コン
ピュータ将棋開発者もまた、高度な大局観をお持ちの棋士の皆様の手を
必要としているのです。

(文責kimrin)

2014年7月12日土曜日

メカ女子将棋forWin1.0.0 リリース致しましたー

やっぴー☆ きむりんだょ。

今日は嬉しいお知らせです。メカジョさんことメカ女子将棋のWindows 64bit版を
リリース致しましたー。いぇーい、ぴーすぴーすw

http://www.mechajyo.org/

実際にソフトを動かすまで長々としていますが、ぜひご自分のPCで、あのファンシーなメカジョさんを堪能してくださいませ!

技術的には、Julia言語でエンジン部を動かし、loopbackアドレスの4091ポートをlistenします。そして4091ポートを、登録したexeが見に行くようになっています。Mechajyo.exeというのは実際のところ、無駄なメッセージを出さないtelnetクライアントです。
このやり方を使うとリモートのエンジンを動かすことも技術的には可能です。

本当はEXE内からsystem関数でメカジョさんを呼び出したかったのですが、どうやら入出力が関連付けられず、無理みたいでした。そのためDOS窓を開いて、エンジンを実行してから対局、といういささか冗長な感じになってます。。。

何か気がついたこと、ありましたらwww.mechajyo.orgかこのブログまでお願い致します。可能な限り改善させていただきます。

まだまだ拙いソフトですが、宜しくお願い致します。(_ _)

(文責 kimrin)

2014年7月6日日曜日

#JuliaTokyo いってきましたー


メカ女子将棋Julia tokyo#1 from Takeshi Kimura

#JuliaTokyo #1で発表してきました。タイトルは「メカ女子将棋」!!

@sorami さん始め企画運営の方、有り難うございましたー。

僕の発表自体はどちらかというとビット演算中心の、ややJulia言語
本来の使われ方からは離れた使用例の解説がほとんどで、いささか
皆さん「わからん!」って感じだったので、すいません、こんど
発表するときはもうちょっとlightな内容にしますです。

最後に実際に将棋を指していることろを皆さんに見て頂けたので、
これはこれで有意義だったかな、と思っておりまする。

やはり終わってみて、懇親会含め、よい集いだったなぁと。

データ分析や可視化、様々な最適化などで使われている例が多いので、
僕もそういう勉強していこうかな、と思う一日でした。

そして、#JuliaLang というまだ日本語のcomprehensiveな解説の
無いマイナー言語について、これだけのエキスパート達がもう既に
日本にいるとは、と驚きました。

「なぜRやPythonじゃなくてJuliaを使うんですか」ってよく言われると
思います。もちろんスピードの面で有利だったり、洗練された型システムを
挙げること、できると思います。ただ、ライブラリの面では発展途上感
否めないと思います。それなのに、何故、と問われればやはり、

 この言語に未来を感じるから

なんじゃないかな、と思いました。
#JuliaLang 日本でも流行るといいな♡

ありがとうございましたー

(文責kimrin)